08/03/2017『Lost child 迷子』#かもし

『迷子』

子供の頃迷子になるのって凄く怖かった

そんな小さい頃にこんな夢をみた

いつも通り自分の家に帰宅した
夕方で少し薄暗くて、遅くなっちゃったな～と思いながら玄関を開けると、なぜか雰囲気がいつもの家と違うってのがわかったんだ
やけに暗くてさ

何かおかしい
ただいま～と小声で言いながらそろりと入っていくと
台所に野菜を切っている後ろ姿が見えた

なんだお母さんいたんじゃん

料理していたから聞こえてなかったらしい
ザクザクっと心地よい音が聞こえる
いつもの風景にホッとした

お母さんただいま

そう言ったとたん
バッと尋常でない早さでお母さんがこちらを振り返った

そこにあったのは見慣れたお母さんの顔はなく
感情の読めないただただ真っ白いお面だった

白い仮面の誰かさんは固まっている僕をしばらくみていた

そして何か納得したのか
ゆっくりとまな板の方へ顔を戻し料理に戻った
ザクザクと何かを切っている

ここは僕の居て良い場所ではない

そう思い家を飛び出した
外に出るともう日も暮れ尽きてほとんど夜だった

完全に日が沈む前に本当の僕の家に帰らなきゃまずい
戻れなくなる
何故かそう思いひたすら見慣れた道を走った

見慣れた道？
違和感にふと足を止めると
先程の自宅と同じ感覚が街中を覆っていることを知った

僕は自分の生まれた街のようで全く違うこの街に迷いこんでしまったんだ

とりあえず急がないと
しかしどこにいけばいいんだろう

道路の脇に先程の白い仮面がそこら中に浮かんでいて
僕を見ていた

ひたすら走っているとそこで目が覚めた

ま、こんな感じ

f:id:satorukamoshida:20170214171710j:image

かもしのピアノ