狐につままれる #かもし(ピアノBGM)01/12/2017

狐につままれる

確か小学校の頃
修学旅行が京都だった
最早どんなグループで誰と行動したとか
甘酸っぱい思い出とか
そんなことはさっぱり覚えてないけど
金閣寺を見たとか
そんなことはうっすら覚えている

そんな中明確に覚えているのは
一際変わったタクシーの運転手のこと
どんな顔だったとかは例のごとくさっぱりだけど
東京から修学旅行で来たことを告げると
何やら愉快げに色々話始めた

京都は本当に「出る」んだよ
平安京の話はお化けが沢山出るだろう？
そういう造りになっていて
それは今でも同じなんだ
確かそんなことを言っていた
そして天狗やら妖怪やら他にも色々見たとか何とか
ずーっとそんな話を続けていた

でもそんなにお化けや妖怪ばっか見てたら運転大変だね
小学生ながら少し意地悪な質問をしたつもりだったが、タクシーのおっちゃんはニッコリしてこう返した
大丈夫、おじさんにはこれがあるんだ
胸ポケットから出したのはただのタバコ
今思うとオレンジ色だったのでエコーだったような気がする

お化けや妖怪なんかの類いは煙で防御できる
運転をしていると京都なんかじゃよく狐につままれるんだ
そういう時は休憩して一服するのさ

狐？

そう、狐
同じ道をぐるぐる回されるんだ
前と違う方向に曲がっても
いつのまにか同じ道に戻って来ちゃたりね
それを狐につままれるって言うんだよ
さ、着いたね
気を付けて行っておいでね

そう言って停車すると
この次に向かう場所を地図をつかって丁寧に案内してくれた
清算し、お礼を言って離れて少しした後振り替えると
車から降りて煙草に火をつけているおっちゃんが見えた
視線に気づき手を振ってきたので振り返した

ま、こんな感じ

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